みなさん、こんにちは。今回は、Javaプラットフォーム向けのアプリケーションフレームワーク「Spring」と「Wijmo(ウィジモ)」を使ったアプリケーションの作成方法をご紹介したいと思います。
作成するアプリケーションはMySQLデータの生成(Create)、読込(Read)、更新(Update)、削除(Delete)を行うCRUDアプリケーションです。フロンドエンドにはWijmoのFlexGridを利用し、リッチなデータ表示機能を有するアプリケーションにします。
以下にある通り、環境構築から作成を始めていきますので「Spring」による開発をこれから始めるという方も是非、参考にされてみてください。
なお、この記事では初回として、Javaの開発環境とSpring、アプリケーションで使用するデータベースのセットアップまでを解説し、続く第二回でアプリケーションの作成方法をご紹介したいと思います。
JavaとSpringによる開発環境の構築
それではさっそく、アプリケーションの開発環境を整えていきます。以下の手順に沿って、開発で使用するJavaとSpringによる開発環境を準備します。
JDKのインストール
JDK(Java Development Kit)はオラクル社が提供するJavaアプリケーション用のソフトウェア開発キットです。以下のページからJDKをダウンロードしてお使いのコンピュータにインストールしてください。
※1 JDKのダウンロードにあたっては、Oracleアカウント登録(無料)が必要です。
※2 この記事の執筆ではJava SE 11.0.4 (LTS)を使用しています。
Spring Tool Suiteのインストール
Spring Tool Suite(通称:STS)はSpring用の開発ツールです。以下のサイトからお使いの環境にあったSTSをダウンロードし、インストールしてください。
※ この記事の執筆ではSTS4(Windows 64-bit)およびSTS4(macOS 64-bit)を使用しています。
データベース環境の構築
次に、開発するアプリケーションで利用するデータベースをセットアップしていきたいと思います。今回利用するのは「MySQL」です。
MySQLのインストール
MySQLには無償版と商用版、2つのエディションが存在しますが今回は無償版である「MySQL Community Server」を使用します。以下のサイトからお使いの環境にあったインストーラをダウンロードし実行して、MySQLをセットアップしてください。
なお、Windows版のインストーラではMySQLのインストール構成が選択できるようになっています。今回必要になるのは「MySQL Community Server」のみですので、インストーラの”Choosing a Setup Type”画面で”Server only”を選択し、インストールを実行してください。
PATH(パス)の設定
このあとDB内にテーブルを作成していきますが、コマンドラインベースの作業が円滑になるよう事前に環境変数PATHの設定を行います。
Windowsの場合
コントロールパネルの「システム」画面で「システムの詳細設定」を選択し、表示された「システムのプロパティ」画面にある「環境変数」のボタンをクリックします。
「環境変数」画面の「システム環境変数」欄にある変数”Path”の内容に、先ほどインストールしたMySQLのbinディレクトリ情報を追加しましょう(※3)。
※3 パス情報はご自身が MySQL をインストールしたディレクトリに合わせて入力して下さい。例:”C:¥Program Files¥MySQL¥MySQL Server 8.0¥bin” など。
Macの場合
~/.bash_profileファイルに次の行を追加します。
export PATH=${PATH}:/usr/local/mysql/bin/
なお、~/.bash_profileファイルは名前の先頭にピリオドが付与された隠しファイルです。ホームディレクトリ(~/)に移動しても見当たらない場合はcmd + shift + .キーを押下して、隠しファイルの表示を行ってください。
データベースとテーブルの作成
MySQLのセットアップが完了したら、アプリケーションで使用するデータベースとテーブルを作成していきます。
MySQLの起動
コマンドプロンプト(Wnidowsの場合)またはターミナル(Macの場合)で下記のコマンドを打ち込み、MySQLのインストール時に設定したパスワードを入力してMySQLを起動します。
mysql -u root -p
起動に成功すると、コマンドラインで次のように表示されます。
mysql>
データベースの作成
CREATE DATABASE文を使い、データベース「test」を新規作成します。
CREATE DATABASE test;
次にUSE文を使い、「test」を使用するデータベースとして設定します。
USE test
テーブルの作成
CREATE TABLE文を使い、今回のアプリケーションで表示・使用するテーブル「orders」を作成します。このテーブルは入荷した製品の受注日や単価情報を格納するテーブルです。
CREATE TABLE orders (id INT, product VARCHAR(256), date DATE, price INT);
テーブルに対するデータの追加
INSERT文を使って作成したテーブル「orders」にデータを追加していきます。
INSERT INTO orders VALUES (15,'ピュアデミグラスソース','2017-01-10',6000); INSERT INTO orders VALUES (17,'だしこんぶ','2017-01-08',14500); INSERT INTO orders VALUES (18,'ピリカラタバスコ','2017-01-12',4000); INSERT INTO orders VALUES (84,'なまわさび','2017-01-21',8000);
テーブル内容の確認
SELECT文を使い、作ったテーブルを選択して先ほどデータ追加したテーブルの内容を確認してみましょう。
SELECT * FROM orders;
正しくデータが登録/取得されていれば、次のように結果が表示されます。
さいごに
ここまでの手順で、アプリケーションの開発に必要なJava、Spring、MySQLの環境が整いました。この後、いよいよアプリケーションの作成を行っていきます。後編の記事もぜひご覧ください。
製品サイトでは、Wijmoの機能を手軽に体験できるデモアプリケーションやトライアル版も公開しておりますので、こちらもご確認ください。
また、ご導入前の製品に関するご相談、ご導入後の各種サービスに関するご質問など、お気軽にお問合せください。