Flashが2020年末に終了
発表から1年以上経過し、すでにご存じの方も多いと思いますが、アドビシステムズ社は、2020年末にFlash Playerのサポートと配布を終了すると発表しました。
サポート終了後はセキュリティパッチの配布などが行われないので、Flashを使い続けることはセキュリティの観点から見て非常にリスクが高いです。
ActiveReportsのFlashビューワも廃止が決定
これに伴い、ActiveReportsが提供する「Flashビューワ」も次期バージョンで廃止とすることが決定されており、現行のバージョン12.0Jではそれに先駆け、Flashビューワのオプションを非推奨扱いに変更しています。
ActiveReports for .NET 12.0J ユーザーガイド – 変更点
※「ActiveReports for .NET 11.0Jから12.0Jにかけての変更点」 ⇒「Flashビューワ」をご覧ください。
コードからViewerType
プロパティにFlashViewer
を指定した場合、ビルド時に以下のような警告が表示されます。
警告が出ているだけでFlashビューワの利用に支障はありませんが、前述の通り次期バージョンからはFlashビューワは提供されなくなりますし、現行のActiveReportsをそのまま使い続けるにしても、2021年以降はセキュリティのリスクが出てきますので、いずれにせよ移行が必要になってきます。
今回の記事ではFlashビューワの最適な移行先について考えてみたいと思います。
移行先の大本命「PDF」
Flashビューワの移行先としての最有力候補は、同じWebViewerコントロールの「PDF」形式です。ViewerType
プロパティをAcrobatReader
に変更するだけで切り替えることができます。
サンプルコード(C#)
this.WebViewer1.ViewerType =
GrapeCity.ActiveReports.Web.ViewerType.AcrobatReader;
PDFは描画の品質が非常に高く、レポートデザイナ(VisualStudio)上でのプレビュー結果にかなり近い形で表示できます。
ただし、WebViewerコントロールは「ASP.NET Webフォーム」形式のWebアプリケーションでしか使用することができません。
ASP.NET Webフォーム自体は技術的に枯れており、安定したプラットフォームではありますが、将来的にアプリケーションを「ASP.NET MVC」や「ASP.NET Core」といった新しいテクノロジーに乗り換える場合には、WebViewerコントロールは使えなくなるので注意が必要です。
インタラクティブ機能やマルチデバイスに対応した「HTML5ビューワ」
「HTML5ビューワ」はJavaScript ライブラリ形式のビューワで、ツールバーやサイドパネルなど、Flashビューワに比較的近いルック・アンド・フィールをユーザーに提供できます。
レポートの描画の品質はPDFに劣りますが、HTML5ビューワの印刷機能は一旦内部でPDFを生成して印刷を行うので、最終的な目的がレポートの印刷である場合は、PDFと同じ品質の印刷結果を得ることができます。
また、HTML5ビューワは、Windows PCの他、iPad/iPhoneでの運用もサポートしています。
通常のデスクトップ向けのUIのほか、モバイル端末に適したUIのモードも提供しているので、アクセスした端末に応じて最適なUIに切り替えるといった、マルチデバイスに対応した運用が可能です。
さらに、HTML5ビューワはドリルダウンやドリルスルーといった機能に対応しており、ビューワ上で詳細データをインタラクティブに分析できます。
ドリルダウン
ドリルスルー
ただし、HTML5ビューワはWebViewerコントロールと全く互換性がなく、レポートの表示部分を一から実装し直す必要があるので、「PDF」と比較して移行にかかる工数は多くなるでしょう。
参考情報
まとめ
Webビューワ(PDF) | HTML5ビューワ | |
---|---|---|
プラットフォーム | ASP.NET Webフォームのみ | マルチプラットフォーム で利用可能 |
ビューワの外観 | ブラウザとプラグインに依存 | Flashビューワのような ツールバーやサイドパネル |
ビューワ上の描画品質 | 高 | 中 |
印刷の品質 | 高 | 高 |
マルチデバイス対応 | × | 〇 |
インタラクティブ機能 | × | 〇 |
移行にかかる工数 | 少 | 多 |
おわりに
今回は「PDF」と「HTML5ビューワ」を紹介しましたが、もちろん選択肢はこの限りではありません。どの方法もメリット/デメリットがあるので、お客様の要件や将来的な需要にあわせて最適な移行先をお選びください。
製品Webサイトで公開しているデモアプリケーションで、今回紹介した2つの機能を実際に動かして試すことができるので、是非以下よりアクセスしてみてください。