Webフォームフォームへのデータ入力中にうっかりブラウザを閉じてしまったり、別なウェブサイトに移動してしまったりしたことはありませんか?せっかく良いところまで入力していたのに、また初めからとなるとやる気が無くなってしまいますよね。
日本仕様の入力を細かくケアするJavaScriptライブラリ「InputManJS(インプットマンJS)」、最新バージョンの「V3J」ではこのような状況の発生を防げる「フォームデータの永続化機能」が追加されました。今回はこの機能について詳しくご紹介したいと思います。
フォームデータの永続化
一般的なWebフォーム入力ではサブミット前にブラウザを閉じたり別なWebページに移動したりすると、それまでの入力データが失われてしまいます。
InputManJSの「フォームデータの永続化機能」(GcFormPersistenceクラス)を活用すると、このような場合にWebフォームのデータを保持し、再度フォームが表示されるタイミングでそのデータを復帰することが可能になります。
次の項からはその基本的な使い方を解説していきたいと思います。
基本的な使い方
GcFormPersistenceクラスの使い方は非常に簡単です。コンストラクタの引数に入力データを永続化したいフォームを設定してインスタンスを作成します。次にpersistメソッドをコールすれば引数として設定したフォームデータの永続化が有効になります。
以下にサンプルコードを示します。この例ではInputManJSのテキストコントロールとHTML標準のテキストボックス要素に対する入力を永続化しています。
<body>
<form id="testform">
InputManテキストコントロール:<input id="gcTextBox"><br>
通常のテキスト要素<input id="sttext" type="text">
</form>
<script>
gcTextBox1 = new GC.InputMan.GcTextBox(document.getElementById('gcTextBox'), {
});
//保存したいフォーム要素を引数に指定します
fp = new GC.InputMan.GcFormPersistence(document.getElementById('testform'));
//persistメソッドを実行します
fp.persist();
</script>
</body>
永続化機能でサポートするコントロールとHTML要素
上記のサンプルコードにもあるように、GcFormPersistenceクラスはInputManJSコントロールのほか、HTML標準の入力要素もデータ永続化の対象としてサポートしています。具体的には以下のコントロールとHTML要素でフォームデータの永続化を実現できます。
- InputManJSが提供する入力コントロール*1
- HTML標準のinput要素*2
- HTML標準のselect要素
- HTML標準のtextarea要素
*1 GcTextBoxをパスワード表示に設定している場合はデータの保持を行いません。
*2 type属性がbutton、file、password、reset、submitのものは除きます。
また上記のほか、追加設定が必要になりますが、サードパーティ製ライブラリの入力コントロールを対象としたフォームデータの永続化も実現可能です。この方法については以降の項にある「サードパーティ製ライブラリにおけるデータの永続化」で詳しくご紹介します。
オプション設定
GcFormPersistenceクラスでは、以下にある2つのプロパティ、saveModeとstorageModeを使ってデータ保存のタイミングや方法を設定することが可能になっています。
プロパティ名 | 機能 |
---|---|
saveMode | データ保存のタイミングを設定します。タイミングはブラウザ更新時のみ、もしくはブラウザ更新時とフォームデータ送信時を選択可能です。 |
storageMode | データの保存先を設定します。保存先はローカルストレージ、もしくはセッションストレージを選択可能です。 |
なかでもstorageModeプロパティの設定は非常に重要です。下記に示す「保存先」の違いにより保持するデータのライフサイクルが異なってきますのでご注意ください。
ストレージの種類 | データ永続化時の動作 |
---|---|
ローカルストレージ | クライアント環境にデータを保存します。ページ遷移後のほか、ブラウザを閉じてから再度フォームを開いた場合もデータが復元されます。 |
セッションストレージ | ブラウザのセッション情報としてデータを保存します。この場合はブラウザを閉じるとストレージのデータが削除されるため、ブラウザ再起動後のデータ復元はできません。 |
なお、GcFormPersistenceクラスのデフォルト動作ではローカルストレージにデータが保存されるようになっています。
また以下にこの2つのプロパティを使ったサンプルコードを示します。
//GcFormPersistenceインスタンスを作成します
var fp = new GC.InputMan.GcFormPersistence(
document.getElementById("testform"), {
//フォーム送信時にもデータを保存します
saveMode: GC.InputMan.SaveMode.SaveOnSubmit,
//セッションストレージにデータを保存します
storageMode: GC.InputMan.StorageMode.SessionStorage
});
サードパーティ製ライブラリにおけるデータの永続化
前述したようにGcFormPersistenceクラスではサードパーティ製ライブラリの入力コントロールでもデータの永続化ができるようになっています。この永続化では、サードパーティ製ライブラリのコントロールそれぞれの仕様にあわせたインターフェースの実装が必要になります。
具体的にはInputManJSが提供するIThirdpartyEditorインターフェースを使用して以下に示す4つのメソッドを実装します。
メソッド | 実装する処理の概要 |
---|---|
checkerメソッド | 永続化するコントロールのname要素を返します |
saveメソッド | コントロールからストレージにデータを保存します |
restoreメソッド | ストレージからコントロールにデータを復帰します |
skipメソッド | コントロールにおいて永続化を適用しない要素を返します |
なお、ここでの注意点としてskipメソッドの取り扱いに注意してください。フォームデータを永続化するサードパーティ製コントロールにおいて、保存したくない要素がある場合はskipメソッドで明示的に除外する必要があります。
以下に、この機能を使ったサンプルコードを示します。使用しているサードパーティ製ライブラリは弊社のJavaScriptライブラリコントロールセット「Wijmo(ウィジモ)」に収録の入力コントロールです。
//WijmoInputNumberコントロールを設定します
const theNumber = new wjcInput.InputNumber('#theNumber');
//Wijmoの永続化を行うためのルール(IThirdpartyEditor)を設定します
function WijmoRule() { }
WijmoRule.prototype = {
/**
* 要素をスキップする際の処理を設定します。
* @param {HTMLElement} element ホスト要素からのHtml要素
*/
skip: function (ele) {
//今回はスキップしたい要素はないのでfalseを設定します
return false;
},
/**
* 要素がサードパーティのコントロールかどうかを判断し、
* そうである場合にストレージキーの利用するnameを設定する処理を定義します
* @param {HTMLElement} element ホスト要素からのHtml要素
*/
checker: function (ele) {
//wijmoは常に最も外側の要素にクラスに「wj-control」を追加するため、
//以下の条件で要素がwijmoコントロールかどうかを確認できます
if (ele.classList.contains("wj-control")) {
return ele.getAttribute("name");
}
return "";
},
/**
* ページの更新やフォームの送信時にコントロールの値をストレージに保存する際の処理を定義します
* @param {ElementContext} context 現在のGcFormPersistence、現在の要素、要素名の情報
* interface ElementContext {
* formPersistence: GcFormPersistence;
* element: HTMLElement;
* name: string;
* }
*/
save: function (context) {
//最初にcontent.elementによってコントロールインスタンスを取得します
var wijmo_control = wjcCore.Control.getControl(context.element);
//次にGcFormPersistenceのインスタンスを利用して、setValueメソッドで値を保存します。
//setValueの第1引数にはcheckerメソッドで設定したストレージキー名、
//第2引数はストレージに保存する値をそれぞれ指定します。
context.formPersistence.setValue(context.name, wijmo_control.value);
},
/**
* ページがロードされたときにストレージからコントロールの値を復元する際の処理を定義します
* @param {ElementContext} context 現在のGcFormPersistence、現在の要素、要素名の情報
* interface ElementContext {
* formPersistence: GcFormPersistence;
* element: HTMLElement;
* name: string;
* }
*/
restore: function (context) {
//最初にcontent.elementによってコントロールインスタンスを取得します
var wijmo_control = wjcCore.Control.getControl(context.element);
//次にGcFormPersistenceのインスタンスを利用して、getValueメソッドで値を取得します。
//getValueメソッドの引数は保存時に設定したストレージキー名を指定し、
//戻り値を復元したいコントロールインスタンスのプロパティに設定します。
wijmo_control.value = Number(context.formPersistence.getValue(context.name));
},
};
//registerEditorメソッドにWijmo永続化のルールを設定します
GC.InputMan.GcFormPersistence.registerEditor(new WijmoRule());
このサンプルコードの動作についてはInputManJSの製品デモでもご確認いただけますので、そちらも併せてご確認ください。
まだまだ盛り沢山の「V3J」新機能をWebで確認
今回はInputManJSの「V3J」に搭載されたフォームデータの永続化機能について詳しくご紹介しました。この機能を活用することでシステム利用者にストレスフリーな入力フォームを提供することが可能になります。
本記事で製品が気になった方は、InputManJS製品ページも併せてご確認いただければ幸いです。
また弊社Webサイトでは、製品の機能を手軽に体験できるトライアル版やオンラインデモを公開しております。より本格的な製品のお試しにあたっては、こちらもご確認いただけますと幸いです。
このほか、ご導入前の製品に関するご相談、ご導入後の各種サービスに関するご質問などがございましたら下記までお気軽にお問合せください。