今回はAzure AI Serachの新機能「エージェント検索」を紹介します。
Azure AI Searchとは?
Azure AI Searchは、企業内にある社内文書や業務データなどの検索対象の情報に対して全文検索/ベクトル検索/ハイブリッド検索/マルチモーダル検索といった検索処理を統合的に提供するMicrosoft Azureの検索サービスです。アプリケーションに組み込むRAG(検索拡張生成)やAIエージェントの基盤として利用され、チャットボットや業務システムに対して高精度な検索結果を提供することができます。
エージェント検索(Agentic Retrieval)とは?
エージェント検索(エージェンティック検索やエージェント取得とも翻訳されています)は、2025年5月のMicrosoft Buildで発表されたAzure AI Searchの新機能で、AIチャットやRAGアプリなどのクライアントから入力される複雑な自然言語クエリや会話コンテキストに対応した高度な検索・情報取得を処理するための機能です。
従来の単純な検索クエリで結果を返す検索とは異なり、LLM(大規模言語モデル)を活用して検索処理を自動的に最適化(入力された検索クエリをサブクエリに分解して並列実行、自然言語の回答を作成)して実行することができます。現時点ではプレビューとして提供されている機能となっています。
試してみる
準備するもの
Microsoft Foundryのリソースとプロジェクト、Azure AI Searchの検索サービス、Azure Blob Storageのアカウントを、以下を参考に作成します。
Microsoft Foundryには、以下のモデル(text-embedding-3-large、gpt-5-mini)をデプロイします。

Azure Blob Storageには、以下のコンテナー(ragstorage、ragstorage2)を作成します。

さらにそれぞれのコンテナーには、検索の対象となるPDFファイルをアップロードします。今回はメシウス製品のPDF資料を、.NET製品とJavaScript製品で別々のコンテナーにアップロードしています。


ナレッジソースを作成する
ナレッジソースは、エージェント検索による検索対象のデータソースを指定します。Azure AI Searchで作成した検索サービスのメニューから「エージェント取得」-「ナレッジ ソース」を選択し、「ナレッジ ソースの追加」をクリックします。

ナレッジソースの種類を選びます。今回はAzure Blob Storageを使用するので「Azure BLOB」を選択します。

ストレージアカウントとコンテナーは準備していたものを設定します。また、ベクトル化を有効にするので、「ベクトル化の追加」をクリックします。

ベクトル化に使用する埋め込みモデルとして、準備しておいたtext-embedding-3-largeを設定します。

それぞれのコンテナー(ragstorage、ragstorage2)に対してナレッジソースを作成するので、以下のような構成になります。

ナレッジベースを作成する
ナレッジベースはエージェント検索を調整する最上位レベルのオブジェクトです。検索クエリを実行するナレッジソースや検索の実行および回答する際の動作を設定することができます。Azure AI Searchで作成した検索サービスのメニューから「エージェント取得」-「ナレッジ ベース」を選択し、「ナレッジ ベースを追加する」をクリックします。

「チャット補完モデル」にある「モデル デプロイを追加する」をクリックして準備しておいたgpt-5-miniを設定します。

作成した2つのナレッジソースを追加します。

作成が完了すると以下のように表示されます。設定したナレッジソースとモデルが確認できます。

エージェント検索をテストする
Azure AI Searchで作成した検索サービスのメニューから「エージェント取得」-「ナレッジ ベース」を選択し、作成したナレッジベースをクリックします。

ナレッジベースにはテスト用のチャットプレイグラウンドが用意されており、ナレッジベースに検索クエリを送信できます。

以下のようにそれぞれのナレッジソースにある情報を取得するようなクエリを送信してみます。

以下が応答で返される出力結果です。出力結果の最後にある出典情報を確認すると、それぞれのデータソースを検索して応答が返されていることが分かります。

出力結果
以下は、提供されたナレッジソースから確認できた価格情報です。出典は各項目末に記載します。
ActiveReports for .NET(製品名は ActiveReports と表記)
ライセンス形態:開発ライセンス(買い切り)、配布ライセンス(コアサーバーライセンス等)および保守サービスが記載されています。12
エディション別価格(Standard / Professional、開発ライセンス):1開発者あたり 242,000円(Standard) / 396,000円(Professional)1
開発ライセンスの台数別価格例:3開発 689,700円 / 1,128,600円、5開発 1,089,000円 / 1,782,000円、10開発 2,057,000円 / 3,366,000円、20開発 3,872,000円 / 6,336,000円、50開発 9,075,000円 / 14,850,000円(Standard / Professional の順)12
配布ライセンス例:コアサーバーライセンス(2コア) 165,000円(Standard / Professional として同額表記)12
保守サービス:開発ライセンス購入から1年間の保守が無償付属。1年更新の保守費用例(Standard / Professionalの順):1開発 60,500円 / 99,000円、3開発 172,425円 / 282,150円、5開発 272,250円 / 445,500円、10開発 514,250円 / 841,500円、20開発 968,000円 / 1,584,000円、50開発 2,268,750円 / 3,712,500円。2
注記:文中に「バージョン18.0Jのものです」との記載あり。2
Wijmo
ライセンス形態:年間サブスクリプションの開発ライセンス(開発者単位)および永続のランタイムフリー配布ライセンスなどが記載されています。3
開発ライセンス(年間サブスクリプション):1開発者(年間)165,000円。更新(2年目以降)82,500円/年。3
配布ライセンス:ランタイムフリー(永続ライセンス)として価格0円と記載(注:詳細や特別契約が必要な利用形態あり)。3
注記:SaaSでの利用や組み込み等は特別契約が必要となる場合があると明記されています。3
出典:上記の価格情報は以下のナレッジソースに基づきます。ActiveReports 関連は ref_id:0 と ref_id:2、Wijmo 関連は ref_id:1 を参照しました。123
備考:提示された取得コンテンツ内の情報に基づいて記載しています。最新の正式価格や契約条件(特別契約、オプション等)は製品サイトや販売窓口での確認を推奨します。
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activereports-18.pdf
knowledgesource-1767838344661
2
activereports-18.pdf
knowledgesource-1767838344661
3
wijmo_a4_full.pdf
knowledgesource-1767856136346
応答では、ナレッジソースへの参照と取得プロセスに関するデバッグ情報も確認できます。

さいごに
今回はAzure AI Serachの新機能「エージェント検索」を実装して動作を確認してみました。ナレッジソースには、今回使用したAzure Blob Storageの他にもSharePointやWebページ(Bing検索による)も設定することが可能となっています。
こちらを利用すればZendeskなどのナレッジコンテンツ、Webサイトの商品ページやヘルプ、PDF資料などをそれぞれナレッジソースに設定してナレッジベースを作成しエージェント検索を実行する、といった高度な検索処理を実装することが可能になります。
また、Microsoft Ignite 2025で発表された「Foundry IQ」というMicrosoft FoundryによるAIエージェント向けの統合レイヤーは、このAzure AI Searchのエージェント検索を基盤としています。こちらも非常に楽しみな機能ですね。
